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質量分解能について

このブログでは、質量分析に関する様々な箏を思いつくままに書いています。

何年か前にホームページを一新して、以前のホームページに載せていた記事を、少しずつこのホームページで再掲載しています。

 

さて私達は、質量分析計を使ってマススペクトルを測定することで、化合物(分子)の質量を知る箏が出来ます。今回は、“分子の質量をどれ位精確に測れるか?”について解説し。たいと思います。そのためには、先ず“質量分解能”について解説する必要があります。

 

質量分析計(MS装置)の最も重要な性能の一つが“質量分解能”です。質量分解能は、日本質量分析学会のマススペクトロメトリー関係用語集1)では、以下のように定義されています。

“ある特定の質量分解度(mass resolution)の値を得ることができる質量分析計の能力”

また、質量分解度は以下のように定義されています。

“あるマススペクトルについて、観測されたピークのm/zの値を、スペクトル上でこのピークと分離されて観測される(仮想的な)ピークのm/z値との差の最小値Δ(m/z)で割った値;(m/z)/ Δ(m/z)

質量分解能および質量分解度を表示する際は、その値を求めるのに用いたm/zの計測値と、Δ(m/z)の決め方を示す必要があります。Δ(m/z)は通常、ピークの高さに対する一定の割合の高さで求めたピーク幅とし、その際のピークの高さに対する割合を示します。殆どのMS装置では、質量分解能は半値幅で定義します。

 

何だか分かり難いですが、要は“質量分解能によってどれ位小さなm/zの差を識別できるか(近いm/zのピークを分離できるか)、m/zの値をどれ位精確に測れるかが決まる”ということです。大雑把に言うと、m/z 1,000とm/z 1,001を分けられる質量分解能が1,000、m/z 1,000.0とm/z 1,000.1を分けられる分解能は10,000となります。

 

下の図は、ある分子の元素組成に対して、質量分解能800, 10,000, 30,000, 100,000でシミュレーションしたマススペクトルです。それぞれ、一番左側のピークがモノアイソトピックピーク(分子を構成する各元素が全て主同位体で構成される分子から生成したイオン)、左から2番目以降が主に12Cが13Cに置き換わった同位体イオンのピークです。質量分解能が高くなるにつれて、各ピークはシャープになり、同位体ピークの間隔が広がっているのが分かります。

 

ピークがシャープであるほど、その位置(m/z値)をより正確に測ることができるし、僅かなm/z差の他のイオンと目的のイオンを分離することができます。大凡ですが、質量分解能数100~1,000程度では、得られるm/z値の正確さは整数からせいぜい小数点以下一桁のレベル、質量分解能10,000程度で小数点以下2~3桁のレベル、質量分解能30,000程度以上で小数点以下3~4桁のレベルでm/z値を計ることができます。

イオンのm/z値を正確に測れるとどんな良いことがあるのか?

 

については、次回以降に解説していきます。

 

引用文献

1) マススペクトロメトリー関係用語集、日本質量分析学会用語委員会編、国際文献印刷社、pp. 68-69 (2009).

 

 

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