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TOF以外にも原理上「スキャン」を使えない質量分析計はある

 この↓ブログ記事で、「TOF-MSでスキャンと言う用語は原理上正しくないため使えない」箏を解説しました。

https://www.sitsuryobunsekiya.com/blog/572957.html

 

ちょっと復習です。

質量分析において「スキャン」とは、マススペクトルを取得するために質量分析部の電圧を走査(掃引)することです。TOF-MSでは様々なm/zのイオンを一定の加速電圧でパルス的に飛行管に向かって打ち出し、イオンのm/zによって飛行時間が変わる原理を利用してマススペクトルを取得します。マススペクトルの取得に際して質量分析部の如何なる電圧走査も行わないため、「スキャン」という用語は原理上使えません。

また、TOF-MSと並んで高分解能質量分析計の代表選手であるOrbitrap-MSにおいても、「スキャン」という用語がよく使われています。しかし、Orbitrap-MSもTOF-MSと同様、マススペクトルを取得する際に質量分析部の電圧走査を伴わないため、原理上「スキャン」という用語を使うのは正しくありません。自作なので下手ですが、Orbitrap-MSの質量分析部の概略を図1に示します。

 

図1において、様々なm/zのイオンは、質量分析部に導入される前にC-Trapと言うデバイスで一定時間トラップされ、パルス的に質量分析部に導入されます。質量分析部内では、イオンは中心電極の周りを回りながら電気的に左右に分割された外部電極の中を、左右方向に振動します。外部電極はイオンの振動によって発生する誘導電流を検出します。

 Orbitrap-MSでは、イオンが振動する時の周波数がm/zによって異なる箏を利用してマススペクトルが取得されます。イオンを振動させるための励起電圧をパルス的に印加しますが、その励起電圧は測定するm/z範囲に応じて一定で走査(スキャン)される訳ではありません。従って、TOF-MSのみならずOrbitrap-MSにおいても、「スキャン」という用語は原理的には正しくないため使えなという箏になります。

 

 

 

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